活動目的
厚生労働省が策定している肝炎対策基本指針に示された「肝硬変・肝がん移行者数減少*」、世界保健機構(WHO)が提唱している「2030年までにウイルス性肝炎撲滅**=micro elimination」の促進を目指し、以下を目的としています。
*https://www.mhlw.go.jp/content/10901000/000913705.pdf 第1 肝炎の予防及び肝炎医療の推進の基本的な方向より
**Global health sector strategy on viral hepatitis 2016-2021 Towards ending viral hepatitis. 2016
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受検・受診・受療・フォローアップの促進
肝疾患患者さん(特にウイルス性肝疾患感染者)を拾い上げ、できるだけ多く医療機関へ受診させ、治療(受療)・定期通院受療へ結びつける。 -
肝炎ウイルス検査は「一生に一回は受検することを」周知と「非認識者受検者」減少
肝炎ウイルス検査未受検者は多い領域を特定し、様々な手法を用いて肝炎ウイルス検査受検機会を拡充させ、その検査結果を陽性・陰性に関わらず記憶していただく -
医療従事者のみならず一般市民に向けた「肝疾患に係る正しい情報発信」を推進
ウイルス性肝炎の感染経路、肝がん発症に関与する脂肪性肝疾患(肥満、アルコール)等については、国民の理解が十分でなく、コミュニケーション作成やweb配信を用いて最新の肝疾患情報を提供する
活動内容
肝炎ウイルス検査非受検者や肝疾患患者が多く存在領域として①職域における健康診断②非肝臓専門医科で施行される手術前(入院前)検査③地方公共団体は実施主体の健康診断(特定健診等)に着目し、阻害要因解析・介入・社会実証・情報発信を行っています。
①職域における健康診断
- 健康診断時の肝炎ウイルス検査導入に伴う配慮事項
- 肝炎ウイルス検査受検率・陽性率の解析
- ナッジ理論を応用した肝炎ウイルス検査促進
- 肝炎ウイルス検査非導入の阻害要因と効率的な導入方法の立案
- 肝線維化診断方法であるFIB-4(FIB-3)周知・活用
- 肝機能異常者への適切な事後措置についての情報発信
②非肝臓専門医科で施行される手術前(入院前)検査
- 検査数・肝炎ウイルス陽性率・要紹介者(治療済・通院者除)の解析
- 公益社団法人 日本眼科医会と連携した眼科医主導の肝炎対策
- 一般社団法人 愛知県歯科医師会と連携、水平展開中の歯科医主導の肝炎対策
- 公益社団法人 大分県臨床工学技士会と連携した正しい肝疾患情報発信
- 医療機関内の肝臓非専門科への肝炎医療コーディネーター配置促進
- 肝疾患専門医療機関の肝炎対策・肝炎医療コーディネーター養成/配置の現状調査
- 若年医師向けた正しい肝疾患情報発信
③地方公共団体は実施主体の健康診断(特定健診等)
- リアルタイムの肝炎ウイルス検診(検査)数・肝炎ウイルス陽性率の解析
- 肝炎ウイルス検査陽性者の医療機関受検率(精密検査受検率)調査の促進
- 肝炎ウイルス検査委託医療機関と連携した精密検査受検率調査(=川崎モデル)の促進
- ウイルス性肝炎に関する助成制度の現状
- 都道府県と市町村の肝炎対策部署間連携促進に係る情報発信
- 肝炎情報センターと連携した地方公共団体の取組紹介
①~③の実情に合わせて、各領域で使用しやすいコミュニケーションツール作成/配布・web修会開催による情報発信に加え「中高生に向けた正しい肝疾患情報発信」、「検査・継続受診促進における費用対効果解析」、「仕事と治療の両立支援の周知」「B型肝炎再活性化ガイドライン遵守率の現状」等についても取り組んでいます。
肝炎お役立ち情報
肝炎総合対策とは
1. 我が国における肝炎対策の始まり
2002年に薬害C型肝炎訴訟が始まり、2006~2007年にかけて大阪・福岡・東京・名古屋地裁が国の責任を認める判決が示されました。2007年12月当時の福田首相が議員立法による全員一律救済を表明、2008年1月15日には、原告団・弁護団と国との間で基本合意書を締結となりなり、これらの一連の流れから2009年「肝炎対策基本法」(平成21年法律第97号)に基づき2011年5月に「肝炎対策基本指針」(平成23年厚生労働省告示第160号)が策定され、その後、様々な「肝炎総合対策」が推進されることになっています。
肝炎情報センター主催令和6年度 第1回 肝疾患診療連携拠点病院間 連絡協議会 肝炎対策推進室・B型肝炎訴訟対策室からの報告より
基本指針は少なくとも5年ごとに検討を加え、必要に応じて変更することにさており、2016年の改訂(平成28年厚生労働省告示第278号)では、抗ウイルス剤が経口薬へと進歩したことをうけて「肝炎の早期発見・早期治療によって肝硬変・肝がんへの移行者を減らすこと」を目標として、①肝疾患治療の促進、②肝炎ウイルス検査と重症化予防の推進、③地域における肝疾患診療連携体制の強化、④国民に対する正しい知識の普及、⑤研究の推進 の5本柱で肝炎総合対策を推進しています。
肝炎情報センター主催令和6年度 第2回 肝疾患診療連携拠点病院間 連絡協議会 肝炎対策推進室・B型肝炎訴訟対策室からの報告より
セミナー・研修会・講演情報
- 透析関係者に聞いてほしい肝炎ウイルス陽性者対策 勉強会(PDF)
*肝炎医療コーディネーター(肝Co)スキルアップ研修会
2025年7月27日(日) - 肝炎医療コーディネーター継続研修会(PDF)
テーマ:健診から肝疾患症例を効率よく紹介するためには?
2025年8月28日(木)